帳簿がない場合のリスクとは?

帳簿がない場合のリスクとは?

帳簿を付けていない問題点とは?

帳簿がないときの問題点

そもそも帳簿を付けていなかった場合やきちんと帳簿を付けていたが紛失してしまった場合など、結果的に帳簿が手元にないことで発生する問題点について説明します。まず考えられるのが、消費税の問題です。消費税は、売上の消費税から経費の消費税を差し引いた残りを納税する仕組みになっています。これを仕入税額控除といいます。仕入税額控除が認められる条件は、帳簿を作成していることと、仕入れに関する領収書が保存されていることです。そのため、帳簿がなかった場合、例え領収書が保存されていたとしても仕入税額控除が認められなくなります。そればかりか、重加算税となる恐れもあります。帳簿がないということが故意に売上を隠すためだと調査官に認定されてしまった場合は、脱税行為とみなされる可能性があるからです。

青色申告を取り消される可能性も

青色申告をする場合は、帳簿を付けることが条件となります。2011年12月の税制改正によって、2014年1月から全ての個人事業主に対して記帳と帳簿保存が義務付けられました。そのため、簡易簿記か複式簿記かの違いはあったとしても、基本的には青色申告を受ける人は帳簿付けが大前提です。帳簿付けが条件とされている青色申告ですから、帳簿がないということになれば青色申告の承認が取り消されることになります。また、税務調査などで帳簿付けがされていないことが判明した場合、過去にさかのぼって青色申告を取り消される可能性があります。もしそうなると、過去に青色申告の控除を受けていた分の税金を追加で請求されることになります。

帳簿がないときの対策

事業を行い、確定申告をする全ての人に帳簿付けとその保存が義務化されています。青色申告でも白色申告でも同じことです。そのため、帳簿がないというのは税務調査が入ったときにとても不利な状況になります。しかし、帳簿を付けていない、帳簿がないといった状況ですぐに罰則があるかというとそうでもありません。保存義務違反に対する直接的な罰則はないのです。
ただ、推計課税の制度には注意が必要です。経費や経費として払っている消費税は帳簿と領収書などの書類でその取引を証明します。しかし、それらがないとなると取引の詳細を証明するものがないので、推計で納税額が決まります。これが推計課税制度です。本来は差し引かれるものが差し引かれない可能性が出てきます。また、過去にさかのぼって推計課税となった場合は、不足分を加算税として追徴される可能性もあります。税務調査の連絡があって、帳簿がないとなったら、すぐに税理士に相談するのが最も安全な方法です。

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