今さら聞けない「青色申告」とは?
確定申告の青色申告とは?
確定申告とは
1月1日から12月31日までの1年間の収入に対して、決算をして納税額を確定し国に申告する作業を確定申告といいます。個人でも法人でも、1年間の収入が20万円を超えると、決められた期限までに事業の収支を記録し、帳簿を付けて申告をします。国民の義務として、確定申告の内容に応じて税金を納めなければなりません。きちんと確定申告をして、収支をクリアにすることは、事業者にとって信頼につながりますし、経営者としての自信にもなるでしょう。なお、確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。それぞれのメリット・デメリットを把握して自分に合った方法で確定申告をしましょう。
庶民が勝ち取った青色申告
青色申告は、申告用紙が青色だったことから名付けられました。2001年以降は青色の用紙ではなくなりましたが、いまでも青色申告の名前は残っています。
青色申告という制度は、「シャウプ勧告」といわれる1949年8月に発表された日本税制報告書に由来します。この報告書を書いたのは当時コロンビア大学の教授だったカール・シャウプ博士です。彼は、日本を視察中に日本人がどの色について好印象を持っているか聞いてまわると青色に良い印象があると答えた人が多かったそうで、そこから青色にしたといわれています。
青色申告が始まったのは東京都目黒区といわれています。目黒で洋品店を経営していた喜多村実氏は自身がつくった実験店舗の経営状況を「ガラス張り経営」と称して新聞で公開しました。これをシャウプ博士が見つけて、日本でも納税者が自分で記帳して納税額を申告する制度が通用すると考えたことから青色申告の制度が始まったとされています。当時の日本の所得税は最高で85%と高く、利益のほとんどを税金として納めなければなりませんでした。そのため、過少申告をする人が多く、税務署はそうしたズルをした納税者を処分しました。当時、納税者は正確な帳簿を付けることがほぼなかったため、反論もできない状況でした。喜多村実氏は、実際の所得から正しい課税をすべきという考えから「ガラス張り経営」を始めたといわれています。その後、シャウプ博士は納税の方針についてとても悩みました。税務官庁を強化して徹底調査すべきか、はたまた業者の誠実な申告を推進すべきか。最終的にシャウプ博士は、民主的な納税制度がベストだと判断して青色申告の制度を導入することを決意したそうです。
当時の税率が高すぎることも驚きですが、税金を納める側の庶民による行動によって青色申告の制度が誕生したことも驚きです。
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事前の届け出や帳簿記帳の手間を差し引いても、フリーランスに青色申告をおすすめする最大の理由が「青色申告特別控除」のメリットです。青色申告特別控除とは、その名の通り青色申告をすることで特別に認められる控除です。所得から控除されることで課税額が下がり、節税になります。青色申告の事前申請をしている事業所得者のうち、複式簿記による貸借対照表と損益計算書を添付し、電子申告をした人は、最大65万円の特別控除を受けることができます。